相続と遺贈

原則として、相続財産は相続人が遺産分割協議を経て取得することとなります。相続人以外の者が相続することはできません。
しかし、相続人以外の者が財産を取得する場合もあります。それは、「遺言書」がある場合です。

遺言書は亡くなる方の最後の意思表示といっていいでしょう。自分の財産を、誰に、どれだけ取得させるのか。遺言書では、それを指定することができます。
遺言書が効力を発揮するには、法的にいくつかの要件を満たす必要がありますが、ここでは割愛します。

遺言書で指定した内容は、遺留分を侵害し、かつ遺留分減殺請求がされない限りは、法定相続人や法定相続分よりも優先されます。
ただし、遺留分減殺請求がなされたときは、遺留分については返還又は弁済しなければなりません。

このように、遺言書により財産を取得させることを「遺贈」といいます。ですので、相続により財産を取得できるのは相続人だけですが、遺贈であれば相続人以外の者に対しても財産を残すことができるのです。
法人に対する遺贈も認められますが、その場合には、被相続人に対して譲渡所得税が課税される可能性があるなど、また別の論点がでてきます。

遺贈により財産を取得した者のことを、「受遺者」といいます。相続人と受遺者は、被相続人から財産を取得した者、という意味では似た存在ですが、相続税法上は、その身分にかなりの差があり、相続人でなければ適用できない優遇規定も多く存在しています。
財産を取得した者の身分に着目した場合、相続税の優遇規定を大まかに分類すれば、

①法定相続人であれば受けられる規定
②相続人又は包括受遺者であれば受けられる規定
③相続人であれば受けられる規定

となります。

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