【インボイス】独占禁止法・下請法違反にならないためには②
公正取引委員会のHPでは、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すこと自体が、直ちに問題となるものではない、とあります。
ただし、見直しにあたって【優先的地位の濫用】に該当しないように注意が必要とあります。
では具体的に【優先的地位の濫用】となる行為とはどのようなものなのでしょうか。公正取引委員会のHPには、以下のように記載されています。
1.取引対価の引き下げ
売り手と買い手が双方納得のうえ、取引価格を設定すれば問題ありません。
ただし、買い手の都合のみで価格を設定してしまうと問題となる可能性があります。
2.商品等の受領拒否等
売買等の契約の後に売り手が免税事業者でインボイスを発行できないことを知って、「それは困る」と商品等の受領を拒否するような場合、優先的地位の濫用として問題となります。
3.協賛金等の負担の要請等
免税事業者の売り主に対して、インボイス制度実施後も取引価格を据え置きにする代わりに、別途、協賛金や販売促進費等を要請するような場合、問題となります。
4.購入・利用強制
免税事業者の売り主に対して、インボイス制度実施後も取引価格を据え置きにする代わりに、買い主から別途商品の購入やサービスの利用を要請する要な場合、問題となります。
5.取引の停止
事業者がどの事業者と取引するかは基本的には自由です。ただし、買い手がインボイス制度実施を契機として著しく低い価格を提示して、これに応じない相手方との取引を停止するような場合は問題となります。
6.登録事業者となるような慫慂(しょうよう)等
買い主が免税事業者に対して登録事業者となるよう要請すること自体は問題とはなりません。
ただし、要請するにとどまらず、登録事業者とならなければ取引価格を引き下げる、取引を停止すると一方的に通知するような場合、問題となります。
独占禁止法は、もちろん税理士の専門分野ではありませんが、インボイス導入が原因で、法令違反にあたらないよう、我々税理士も注視しなければなりません。
令和5年10月1日から開始されるインボイス制度。松山でも粛々とその準備が始まっています。
制度を正しく理解し、売り主・買い主、共に納得の上で令和5年10月を迎えましょう。