不動産所得申告上の注意点(収入金額関係)

不動産所得は、次の式により計算されます。

不動産所得  =  総収入金額  -  必要経費

つまり、総収入金額と必要経費を適正に計上すれば、適正な不動産所得が計算されることになります(当たり前ですが)
この総収入金額と必要経費計算上の注意点を、税務調査という切り口からいくつかあげてみます。
まずは総収入金額から

(1)未収家賃の計上漏れはないか

家賃については、たとえ未収であっても、契約上の受取日が到来していれば、未収入金(売掛金)として収入に計上しなければなりません。現預金が手元に入ってきていないから、つい忘れがちですが、滞納家賃もきちんと計上しましょう。税務調査では必ず確認されます。

(2)敷引は契約日に計上したか

こちらも、必ず確認される事項です。不動産賃貸の取引上の慣行として、契約に敷引を明記することがあります。この敷引については、契約により入居者への返金は不要ですから、家主さんの収入となりますが、収入に計上する時期が問題となります。通常は、解約精算時にお返しする敷金から敷引を差引きますので、解約精算時の収入と思われがちですが、税務上は返金不要が確定した時、つまり契約時に収入に計上する必要があります。

(3)不動産の収入における消費税

直接的に収入金額とは関係ありませんが、不動産賃貸も消費税を意識しなければなりません。
原則的に居住用物件の賃貸には、消費税は課税されません。しかし、テナント、駐車場、短期入居(1月未満)の居住用物件の賃貸などの場合には、消費税が課税されます。消費税を国に納付しなければならないのは、原則として2年前の消費税が課税される売上が1千万円を超える場合となりますので、もしも、物件のほとんどが居住用物件のような場合は、消費税を国に納付することは少ないでしょう。しかし、この課税売上には不動産の収入だけでなく、事業の売上などを全て合算しなければなりません。したがって、不動産事業以外の事業などをされている方は消費税の課税関係にも注意が必要です。