贈与税のみなし財産
贈与税が課税される財産には、本来財産とみなし財産があります。
本来財産については、こちらをご覧ください。「贈与税の本来財産」
今回は、贈与税のみなし財産のお話です。今回もこわーいお話しになります。
民法上、贈与が成立するためには、あげる人の「あげました」の意思表示と、もらう人の「もらいました」の意思表示が必要になります。
このような契約を「諾成契約」といいます。詳しくは、上のリンク「贈与税の本来財産」をご覧ください。
では、贈与税のみなし財産とは、どのような性質のものでしょうか。
民法上の贈与財産ではないけれど、実態を考慮すると贈与と何ら変わらないから、課税の公平の見地から贈与とみなして贈与税を課税しますよ、というのが、みなし贈与財産の趣旨です。この辺りは相続税のみなし財産と変わりません。「相続税の本来財産とみなし財産」
例えば、僕が1億円の土地を持ってたとします(もちろん、持ってませんが)僕がこの土地を愛人に贈与しようと考えたとします(もちろん、愛人もいませんが)ただ、贈与しただけだと贈与税が課税される。だから僕は考えました。この土地を、愛人に1万円で売ってしまおう。売買だから贈与税はかからない。これで実質、ただ同然で愛人に土地を渡せるぞ、そうして妻にばれて、こっぴどく怒られましたとさ。
という切ない話しはさておき、確かに民法上は贈与契約ではないけれど、実態として贈与と何ら変わらないよね、だったら課税の公平の見地から贈与とみなして、贈与税を課税しますよ、というのが贈与税のみなし財産の趣旨です。
これからがみなし贈与のこわーい話です。民法上の贈与は諾成契約ですので、成立には双方の意思が必要となりますが、このみなし贈与、あげる人の「あげました」の意思も、もらう人の「もらいました」の意思も必要ありません。
必要なのは、結果的に経済的な利益を得た、という事実だけです。つまり、当事者間では贈与の意思は一切なくとも、結果的に経済的な利益を得てしまうと、贈与税が課税されてしまう、ということです。
みなし贈与財産については、相続税法第5条から9条の6において定められています。
生命保険金等
定期金
低額譲受
債務免除等
その他の経済的利益
信託に関する権利の特例
贈与税は、課税されてしまうと、多額の贈与税を納めなければならない場合があります。
趣旨をよく理解のうえ、思わぬ課税を受けないよう、注意が必要です。