不動産を売却したとき 取得費がわからない場合②
いつも絶好調の税理士 井上です!!
それでは、取得費がわからない場合の具体的取り扱いについて見ていこうと思います。
国税庁の取り扱いでは、取得費が分からない場合、売却金額の5%をその取得費とすることが【できる】とあります。つまり、しなければならない訳ではないことを、まずはご理解ください。
売却金額の5%というのは、例えば、土地が3,000万円で売れた場合、150万円で買ったことにしていいよ、ということです。
実際に買った金額が、100万円だろうが、500万円だろうが、バブル最高値で購入して、5,000万円だろうが、買った金額が150万円として計算されるということです。
取得費を150万円で計算した場合の、譲渡所得税は570万円です(長期譲渡所得として、譲渡費用、復興特別所得税は考慮していない。以下同)
もしも、実際に5,000万円で購入していた場合、3,000万円-5,000万円=△2,000万円となり、税金はかかりません。
ここまで大きな差はないにしても、5%基準を使うと、明らかに実際の取得費に比べ低くなることが多いです。
これは、当事務所の社是である【租税正義と良心】に反します。
そこで、当事務所では、5%基準を使わず、できるだけ客観的な情報に基づき、取得当時の金額を類推し、取得費を計算します。
もちろん、申告後に取得当時の実額がわかれば、修正申告又は更正の請求を行います。
課税の公平の観点で、実額を用いることが、当然ですが最も好ましいと考えるからです。
本来の取得費よりも不当に低い金額を取得費として、本来納付すべきでない税金を納めることは、何としても避けたいものです。