遺贈のちょっと詳しい話

以前の記事で、相続の際、相続人以外の者が財産を取得できるのは遺贈だけだ、という話しをしました。詳しくはこちら 相続と遺贈

今日は、その遺贈について、少しだけ詳しく見てみたいと思います。

○特定遺贈と包括遺贈
遺贈には、大きく分けて特定遺贈と包括遺贈があります。
<設例>
所有財産
○A土地
○B銀行の預金
○C社の株式
債務
○D銀行の借入金

特定遺贈とは、個々の財産を特定して遺贈することです。例えば、A土地とB銀行の預金を友人Eさんに遺贈する、という方法です。この場合、この友人Eさんは、D銀行の借入金を引き継ぐ必要はありません。

包括遺贈とは、個々の財産は特定しないで、割合を定めます。例えば、友人Eさんに財産の1/2を遺贈するという方法です。この場合はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(この場合D銀行の借入金)も同じ割合で承継することになります。イメージとしては、相続人以外の人に相続人としての権利を与える、というような感じです。

注意しなければならないのは、遺贈を放棄する場合です。特定遺贈の場合、遺贈の放棄は、いつでもすることができますし、通知の方法も特に定めれていませんので、極端な話、口頭で放棄しても法的には有効です。
ただし、包括遺贈の場合は、相続財産を割合で承継する、という性質上、相続人と同じ手続きを踏まなければなりません。つまり相続人が相続を放棄する場合、3ヶ月以内に家庭裁判所で正式な手続きを踏まなければなりませんが、包括受遺者が遺贈の放棄をする場合も、同じ手続きをとらなければならないということになります。

では、全財産を友人Eに遺贈する、という表現は、特定遺贈でしょうか、包括遺贈でしょうか?
正解は、包括遺贈となります。もしこのようは遺贈を受けた場合には、3ヶ月という期限にご注意を!

もう一つ、遺留分には十分に配慮、注意しましょう。思わぬもめごとの種になります。

ピンポイントで特定の財産を遺贈したい場合は、特定遺贈のほうがスムーズにことが運ぶでしょうが、相続税法上、包括遺贈であれば適用できる優遇規定などもありますので、遺贈をお考えの場合は、民法、税法の両面からアプローチすることをお勧めします。

相続税については、こちら