譲渡所得 収入金額の注意点①固定資産税の精算

土地や建物を売却して利益がでたら、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得 = 収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 )
で計算されます。今回は、収入金額について詳しく見ていきましょう。

収入金額は、土地や建物を売却したことによって買主から受け取る金額をもとに考えます。
土地を1億円で売却した場合、この1億円が収入金額のベースですが、注意しなければならないことがいくつかあります。
そのうちの一つが、「固定資産税の精算」です。

固定資産税は、その年の1月1日に所有している人に課税される税金です。
例えば、1月1日に所有しているAさんは、固定資産税の年額である10万円を納付しました。この土地を10月1日に、Bさんに1千万円で売却しました。
この時、Aさんは考えました。1月1日から9月30日までの固定資産税は、確かにAが納付すべきだ。しかし、10月1日から12月31日までの固定資産税は、Bさんが納付すべきではないのか。そうして、Aさんは、10月1日から12月31日に対応する金額
10万円×3ヶ月/12ヶ月 =25,000円を Bさんから受け取りました。

現在、不動産取引の慣行として、非常によくあるお話です。むしろ、固定資産税の精算をしないほうが少ないでしょう。
ではこの取引、税務的にはどのように取り扱うのかというと。

結論からお伝えします。
Bさんが今回の取引で受け取った金額は、
土地の売却代金 1千万円
固定資産税の精算金 25,000円
この合計金額である、10,025,000円が 収入金額となります。

ここで少し、違和感を感じられる人がいるかもしれません。
固定資産税の精算金は、払った固定資産税が返ってきただけだから、収入にならないのではないか。

ごもっともなご意見ですが、税務的には次のように考えます。

固定資産税は、その年1月1日の所有者が納付するものであって、所有者が年の途中で変わったとしても、税金を払う人が変わる訳ではない。したがって、たとえ慣行により固定資産税の精算をしたとしても、それは、固定資産税を納付したり還付を受けたという性質のものではなく、土地の売買金額の一部として支払い、又は受け取ったと考えるべきである。

これは国税庁のホームページに掲載されている質疑応答事例を簡単に要約(一部私見)したものです。
原文は国税庁の質疑応答事例をどうぞ
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/03/10.htm

固定資産税の精算があったら、収入金額は売却代金だけではない!注意しておきましょう。