相続時精算課税制度とは?

「2,500万円までは贈与税がかからない」と聞いたことはありませんか?
今回は、何かと誤解も多い、相続時精算課税についてふれてみたいと思います。

2,500万円までは贈与税がかからない?
冒頭の話。これはおそらく「相続時精算課税制度」のことでしょう。まずは、制度の概要からご説明します。
一般に、無償で財産が移転するのは、「相続」か「贈与」です。相続は「亡くなった時」に移転するのに対し、贈与は「生前に」財産が移転し、それぞれ、相続税と贈与税が課税されます。

相続での移転であれば、例えば親が90歳で亡くなったとすると、子供はすでに、70歳ほどになっているでしょう。70歳ほどで財産をもらうよりも、もっと若いうちに財産をもらいたい!でも、多額の贈与を受けると贈与税が課税されてしまう。。
こんな声にこたえるように登場したのが、この相続時精算課税です。

この制度を活用すると、2,500万円の特別控除があり、確かに贈与税を納める必要はありません。
ただし、注意すべき点がいくつかあります。

(1)2,500万円を超えると、超えた部分に一律20%の贈与税がかかる
この2,500万円というのは、生涯の金額です。ですので、1年目に2,500万円の贈与を受け、2年目に1,000万円の贈与を受けると、2年目は1,000万円×20%=200万円の贈与税がかかります。

(2)暦年課税には戻れない
相続時精算課税を選択してしまうと、その後、生涯、この制度が適用されることになります。暦年課税には毎年110万円まで贈与税の基礎控除がありますが、それも使えなくなってしまいます。


(3)相続のときに精算して課税される

相続のときには、相続財産にこの制度の適用を受けた贈与財産を加算して相続税を計算することになります。
贈与時には、2,500万円までは贈与税を納付する必要はありませんが、その代わり相続時には、この贈与財産は相続財産に加算されて相続税が課税されることになります。相続の時に精算して相続税を課税する。相続時精算課税の名の由来です。

(2)のとおり、一度この制度を選択してしまうと、もう暦年課税には戻ることができませんし、財産をあげる人、財産をもらう人、ともに要件があります。
相続時精算課税の適用には、慎重な検討が必要です。