相続税の役割とは?

国税庁のHPで税務大学校の講本を閲覧することができます。
それによれば、相続税の持つ機能として、次の2つが挙げられています。

1.所得税の補完機能
2.富の集中排除機能

要約すると、
1.については、生前の所得については、所得税が課せられていますが、政策上、その他の理由で所得税が課税されない等の場合があるので、それを相続開始時にもう一度、清算させてください、というもの。
2.については、相続税がなければ、お金持ちの子はお金持ち、そうでない子はそうでない子。富が集中してしまうので、その一部を相続税として徴収することで、相続した人と相続しなかった人の差をなくし、富の過度の集中を防ぎます、というもの。

こういう視点でみると、相続税に対する見方が少し変わってきます。相続税は社会にとって必要である、と考える人もいるでしょう。私はその考え方を否定するつもりは全くありません。
しかし、その財産は、精一杯働き、所得税を支払って貯めたもの。所得税が課税済の財産に対し、再び相続税をかけることに違和感を覚えるのもまた、事実です。

結局は、どちらの意見も正しいということなのでしょう。その対極にある2つの意見に折り合いをつけるのは、政治の仕事。政治が絶妙のバランス感覚を発揮してくれることを祈るばかりです。
私たちにできるのは、その政治が示した折り合いの範囲内(つまり法律の範囲内)で、当事者さんたちにとって何が最善なのかを、真剣に考えることです。

人が亡くなることは、とても悲しいけれど、その後、相続が争族になってしまうことは、もっと悲しいことです。
自分が残した財産のために、親族が争う姿を、果たして、被相続人さんは見たいでしょうか。

被相続人さんが天国から笑顔で見守られる相続。そんな相続対策を私は目指したい。

相続税については、こちら