相続税と名義預金 実務編③
相続税と名義預金のつづきです。
前回の記事は こちら
3.その預金は、誰が自由に使うことができるか
令和4年8月現在、年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。
これをうまく使い、生前に財産を相続人などへ贈与で移転することが、相続税対策の王道です。
例えば、お祖父様がお孫さんの名義の口座に贈与したという認識で、100万円を振り込んだとします。これを10年続けると、1千万円の財産が生前に移転します。
しかし、もしも、このお孫さん名義の通帳を、お孫さんにお渡ししていなくて、お祖父様が管理されているとしたら、これもやはり、名義預金となります。この預金は、お孫さんが自由に使うことができないからです。
たまに専門家でも、贈与税の申告をしていれば大丈夫とおっしゃられる方もいらっしゃいますが、これは完全に間違いです。
税務は実体を重要視します。仮にお孫さんが贈与税の申告をしていたとしても、その財産の管理をお祖父様がしていたとすれば、これは民法上、贈与は成立せず、名義預金ということになります。
ちなみにもしもお孫さんが贈与税の納税していたとすると、国としては不法利得となりますので、不法利得返還請求権に基づき、納税した贈与税は変換されます。ただし、時効がありますので、注意が必要です。
何度も申し上げますが、相続税の税務調査では、この名義預金が必ずと言っていいほど、問題となります。
名義預金という認定がされないためにも、生前の対策は、万全をきしておこないたいものです。
いつも絶好調の税理士【商標登録】 井上でした!!